和風の庭記事の一覧です
第32話「和風庭園の計画」
設計部の愛です。
今回は『和風庭園の計画』についてのお話です。
日本の住宅の庭園は、かつては鑑賞するための空間である事が主流でした。縁側があり、そこで日向ぼっこをしたり、お茶を飲みながらゆっくり庭を眺めたり、畑でとった野菜の下処理をしたり・・。近年ではそれが段々と変化し、テラスやウッドデッキを設け、そこで食事やお茶を飲んだり家族の団らんを楽しむスペースへと変わって来ました。洋風の庭の場合、テラスやウッドデッキは洋室と庭をつなぐ役割もあります。
一方、和の庭には、和室と庭をつなぐ ”沓脱石” や、庭を歩き、つなげる ”飛石” や ”延段”があります。今回は、そんな和の施設を詳しくみていきたいと思います。
沓脱(くつぬぎ)石
和風の建物で縁側や和室から庭へ降りるときの一番目の石を指すことから、一番石とも呼ばれます。図のように、建物1階の床の高さは600mmほどあることが多く、庭へ降りる時は一番石から二番石、三番石と降りることになります。通常、建具を開けて庭へおりやすい位置に据えます。高さは1階の床高から360mm以下が目安です。
図)沓脱ぎ石周辺の高さ
雨落ち
通常、屋根の雨水は軒先の雨樋から縦樋を通り雨水桝へと排水されます。しかし数寄屋造りでは雨樋が軒先の美観を損ね、又雨樋に落ち葉が詰まる事を考慮して雨樋を付けない場合が多く、この様な場合に雨落ちが設けられます。雨落ちは軒から雨が落ちる位置に帯状に設けられる排水施設で、犬走り側や庭側からの表面排水を受ける役目も持っています。
犬走り
犬走りは以下のような効果を期待して設けます。雨水で建物の基礎が汚れないこと、建物の周囲を歩きやすいこと、水がたまらないこと、掃除がしやすいこと。砂利敷きとする場合、舗装された犬走りに比べると歩きやすさや掃除のしやすさ等は劣りますが、人が歩いた時にジャリジャリという音が鳴り、防犯に役立ちます。
飛石
飛石は、日本庭園の通路を伝い歩きするために表面お平らな石を一定の間隔をあけながら並べたものです。飛石は歩きやすさと景観の両方に気を配ることが求められます。飛石の打ち方には「千鳥掛け」「雁打ち」「二三連打ち」「四三連打ち」・・とたくさんの例があります。はじめの一石、目的地の一石、中間点等、要所要所に配置したあと、その間に統一感が出るように打ちます。
間隔は様々な考え方がありますが、間隔は10~20cm程度(中心間隔では40~50cm)が良いです。桂離宮の飛石の中心間隔の平均値は59.4cmです。歩きやすい寸法としては中心間隔で60cmまでに抑えます。飛石の高さは小さい石で地面から3cm程度、大きい石で6cm程度になるように据えていきます。
図)飛石の打ち方の種類
飛石を並べる時、石の自然な形の曲がり(合端)が平行になるように並べる
延段
延段は、細長い園路のことです。飛石よりも早く歩くのに適しています。延段の形には以下のものがあります。
・「真」切石を中心としてきちんと組む延段
・「行」切石に不規則な形の石を混ぜたものや玉石敷きの延段
・「草」玉石や不規則な石を使う延段
いずれも直線ですがその順に少しずつ柔らかなイメージになります。その素材も、今は輸入石材やレンガ、枕木、コンクリート平板等様々な素材が用いられています。
昔ながらの日本庭園には、先人たちの知恵や工夫が多く見られます。そこにどの様な理由があるのかきちんと知り、今後の新たな使い方を探すステップにしていきたいです。
受け継がれるジャパニーズモダンエクステリア
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フジエクステリア, 和風の庭, 外構 大阪, 大阪 エクステリア
大阪の閑静な住宅街で、建て替えの新築外構です。敷地がなんと300坪もあり、南向きの間口は42mあります。
約100平米、6台は止められる余裕のあるガレージ。奥にカーポート屋根( LIXIL フーゴRワイド)を設置。
ガレージの奥には板石で植栽スペースを造りました。白砂利を敷き詰め、歩く部分は諏訪鉄平石で飛び石風に。
アプローチは既存の石を組み直し、新しい和のお庭に。緩やかな勾配も付け、車椅子を利用する事になっても大丈夫です。
アプローチからお庭への入り口
建て替え前の植木や石を再利用し、枯山水風の和風庭園に。約40~50年の歴史がある大切な植木達です。
道路側には生垣があり、目隠しにはなっていますが隙間から猫が入ってくるので、生垣の裏にメッシュフェンスを設置し、人工竹垣を貼ってメッシュフェンスを隠しました。砂利敷きの下は防草シートで雑草対策を。
こちらは以前は池だったのですが、管理が大変なので那智黒石を入れ池のイメージにしました。水鉢の筧も造り直し、地下水を井戸からポンプで汲み上げ、水が循環する様にしています。
全面に防草シート+人工芝を敷いています。
こちらは現在は防草シートのみを敷き詰めていますが、春には畝をつくり花や野菜を育てる予定です。
奥に聳え立つ高さ10mのクスノキ 。樹齢約100年の立派な御神木です。
南北に2本の地下水脈があり、深さ5~6mの天然井戸があります。浅井戸用電動ポンプで汲み上げ、植栽の散水用にしました(左側の立水栓)。
右側は上水が出る様にしています。歴史のある物件は必要以上にドキドキしますが、ちゃんと再利用出来て良かったです。
担当プランナー:松岡 博孝
■プランナーコメント
K様は以前にご自宅の外構をさせていただき、今回はご実家の建て替えに伴う外構のご依頼でした。300坪もある敷地のため、内容が多いので打ち合わせも大変でしたが、大きな変更もなく無事完成しました。お時間がかかった分、K様とは色々なお話をさせて頂きました。私が特に感銘を受けたのがK様の仕事に対する価値観でした。お仕事で知り合いましたが、人間的尊敬をしてしまう方で、出会えた事に感謝しています。私もK様の様な『誰にも恥じる事のない心豊かな人生』を送りたいと思いました。
K様、色々とありがとうございました。
この素敵なお城でご家族皆様、幸せな日々をお過ごしくださる事を願っております。
又、何か弊社にできることが御座いましたらご連絡をお待ちいたしております。
ありがとうございました!
HIROTAKA MATSUOKA
和モダンデザインの外構リフォーム|大阪の外構工事
クローズ外構, ライティング, リフォーム, 受賞作品, 庭・ガーデン
広いお屋敷の建て替えによる外構のリフォームです。
建物に合わせて外構は広い水平ラインを基本と設定し、門柱、門扉周りだけは粗目の石材でメリハリと表情を持たせました。
建て替え前の家の思い出を残せるように、お庭に沢山あった石やメモリアルツリーである梅、椿、レモン、カリン等は移植て残しました。
担当プランナー:幸地 良浩
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