『人間は自然から遠ざかるほど、病気に近づく。』
近代医学の父、ヒポクラテスの言葉です。
都会の中にいるとなんとなく「疲れる」「落ち着かない」、
山を散策したり自然の多い公園にいるとなんとなく「心地良い」「落ち着く」という経験は多くの人が持っているのではないでしょうか。
IT化社会が進めば進むほど、逆のベクトルを持つ自然の研究も進みます。予防医療分野では自然の場が注目され、様々な科学的な研究・実験がされています。
公園にある芝生地とラベンダー畑の中に椅子を置き、そこに5分間座ってもらいます。
5分後、血圧、脈拍、ストレスホルモンを測定します。結果は↓
※千葉大学大学院園芸学研究科 岩崎寛研究室調べ
※一般社団法人 日本ガーデンセラピー協会冊子より
高血圧の人は下がり、低血圧の人は上がり、正常の人は正常のまま、という結果になりました。
また、脈拍とストレスホルモンの結果も同様に、植物と関わることで正常値に近づける動きが見られました。
これは生物の持つ【生体恒常性】という機能に植物が介入することにより起こる効果とみられています。
生物は【自律神経】【免疫】【内分泌】の3つのバランスを保つことで健康を維持しており、様々な環境の変化にも適応させバランスを保とうとする機能です。
このバランスが崩れると不調が起こります。バランスを崩す原因として特に多いのが「ストレス」であり、植物はこのストレスを軽減・緩和して間接的に人体に作用し、体調を元のバランスの取れた状態に戻します。
芝生地よりもラベンダー畑の方が効果が高いのは、ラベンダーのほうがより芳香が強いからと考えられています。ガーデン療法の中には芳香療法も含まれていますが、ラベンダーはリラックス効果があるアロマの中でも代表的な存在です。
高血圧と低血圧、どちらにも効く薬は現在では存在しません。しかし植物の中に5分間いるだけで、効果が表れるのです。
とは言え、毎日ずっと公園に居続けることはできませんし、ラベンダー畑なんて滅多にないですね。そこでに庭の登場です。椅子やベンチが置けて芝生や下草、土があり、光と風も感じられてゆっくり寛げるスペースがあるといいですね。庭がない場合は、公園に散歩に行き、意識的にベンチなどに座る時間を持つ習慣を持ってみてはいかがでしょうか。
※参考文献)一般社団法人 日本ガーデンセラピー協会