今回は設計部のmanaが担当いたします。
私たちが生活していく上で、暑さ、寒さが快適だったり、不快だったりすることがあります。
このように人間の温感について、どういうときに快適か不快かを、難しく数式を並べたりするのではなく、雑学程度に参考になるようご紹介したいと思います。
まずは、温熱感覚、温熱要素から
温熱感覚とは人間が感じる『暑さ、寒さ』の感覚のことをいいます。
温熱感覚に影響を与える要素を温熱要素といい、下記の要素があります。
人間側の要素として「代謝量」「着衣量」があります。
「代謝量」は安静にしている時、軽作業している時、重作業している時などの違いです。
もちろん重作業している時の方が大きくなり、気温が高いほど大きくなります。
「着衣量」も薄着の時よりも厚着の方が大きくなるのは分かりますよね。
「代謝量」「着衣量」は大きければ大きいほど暑く感じます。
環境側の要素として「気温」「湿度」「気流」「熱放射」があります。
「気温」は当たり前ですが、高いほど暑くなり、低いほど寒くなります。
「湿度」は気温が高く湿度が高いと不快になり、気温が低く湿度が低いと寒く感じます。
「気流」は風があると衣服の断熱を低下させ、汗の蒸発を促進するため
体表面温度を下げる効果が大きい。夏は涼しく感じるが、冬は寒さが増します。
「熱放射」は床や壁、天井が暖かいと熱放射が大きくなり、冷たいと小さくなります。
冬の場合、同じ室内温度でも床や壁、天井が暖かければ暖かく感じ
冷たければ寒く感じる。
夏の場合、日傘を差していても日射の当たる建物の壁に近づいていると
熱放射で暑く感じる。
つぎに、局所不快感という言葉があります。
全身温冷感が中立状態であっても「不均一放射」「ドラフト」「上下温度分布」「床温度」など、局部温冷感にかかわる不快要因が存在すると快適な状態とはなりません。
「不均一放射」は冷たい窓・壁面に対する限界を10℃以内、暖かい天井に対する限界を5℃以内としています。
例えば、窓が5℃で壁面が20℃だとすると、差が15℃あり不快感が大きくなります。
また、床面が15℃で天井面が25℃であれば、差が10℃あり不快感が大きくなります。
『頭寒足熱』という言葉があるように、天井が暖かく、床面が冷たいと不快が増すため
上下の限界の方が厳しくなっています。
なお、暖かい壁面、冷たい天井からの不均一放射による不快感は少ないです。
「ドラフト」は『望まれない局部気流』と定義されます。
冷暖房や空調等で、気流を増加させ過ぎるとドラフトを生じます。
気流の乱れがドラフトによる不快感に影響を与えます。
「上下温度分布」はISOにて椅座位における上下温度差の限界を決めています。
くるぶし(床上0.1m)と頭(床上1.1m)との温度差は3℃以内。
これも頭寒足熱は不快感が少ないことを意味しています。
「床温度」はISOにて室内では19℃~26℃と定めています。
床暖房装置がある場合、最高温度は29℃以下にします。
体温より高い表面温度の伝導による暖房は、低温やけどの危険性があります。
蒸し暑いと不快だ。足元が冷えると不快だ。等々・・・
日常生活で染みついているかと思います。
また、暖房の温度を上げるより湿度を上げる方が効果的とも言われています。
湿度が高いと汗が蒸発しにくくなるため、体温が下がりにくくなるからです。
快適に過ごすためにも、少しでも不快要素をなくすような環境づくりができるといいですね。